セントジョンズワート(セイヨウオトギリソウ)でストレスに克つ!

最近、「プロザック」と言う医薬品が薬品がマスコミで騒がれている。この薬は、SSRI(選択的セロトニン再吸収阻害剤)という薬剤に分類されるもので、神経伝達物質の一種セロトニンの脳内濃度を高めることに効果を表わす。

欝病などの患者では、様々な脳内神経伝達物質濃度が変化しており、セロトニン濃度も低下している。この化学物質が低下すると、気分が不安定になり、神経過敏状態となる。

セロトニンの低下感情の不安定イライラ、不安、抑欝

プロザックはセロトニン系に作用し、セロトニン濃度を上昇させ、気分を改善させる。

セロトニンを上昇させる方法には色々あり、従来から使用されている三環系の抗欝剤にもその作用がある。しかしこれらの薬品はセロトニンだけでなく、ドーパミン等の神経伝達物質にも作用し、また口渇や排尿障害、便秘等の副作用が比較的出やすい点がSSRIと異なる。

また、セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から作られるために、従来から栄養医学の医師たちは、「前駆体療法(アミノ酸療法)」と言う治療法を用いて来た。

 トリプトファン、ビタミンB6、ビタミンC、マグネシウムなどを投与して欝病などの治療を行なう方法は、副作用が少なく安全であったが、昭和電工のトリプトファンに不純物が混入し、トリプトファンの使用が制限されてからは、従来ほど行なわれなくなっている。

プロザックは比較的副作用が少なく、効果の発現が速いことが巷で人気を集めているようである。また、作用機序がセロトニン系中心であることより、他の抗欝剤が無効であった症例にも有効なことがある。しかし、このプロザックにも、めまい、振るえ、眠気、体重減少、不眠、下痢、口渇、頭痛、吐き気等の副作用が数%から20%程度みられる。

そこで、古くから使用されて来た薬草の「St.John's wort(セントジョンズワート)」が期待を集めている。

この薬草の開花時期は6月24日頃であるために、キリスト教文化圏では、使徒ヨハネ(John)の誕生日に因んで、St.Johnの植物(plant=wort)と呼ばれるそうだ。

セントジョンズワートの抽出成分の抗欝作用の機序は、

にあると言われていたが、通常の使用量ではMOAI作用はほとんど無いために、プロザックと同様に選択的セロトニン再吸収阻害剤に分類しても良いだろう。こうした理由により、セントジョンズワートは「天然のプロザック」と呼ばれる。しかし最近の知見によれば、セントジョンズワートには、

があるとされる。この為にSSRIではなく、「SNDRI」と呼ぶ人もいる。

欝病は生化学的には、脳内の神経伝達物質のアンバランスとされているので、1種類で様々な作用を有するセントジョンズワートは「欝病の総合薬」とも期待される。

しかもセントジョンズワートには

という利点がある。

また、セントジョンズワートには 、抗欝作用以外にも多彩な作用がある。

 

セントジョンズ・ワートが有効な疾患や状態


どれくらい服用するか?

セントジョンズワートは有効成分の一種、「hypercin」で活性が標準化されている。多くの研究では1日あたり、hypercinで0.4から2.7ミリグラムが用いられている。

効果が出るまでは、1週間から2週間、最長で1ヵ月かかる。一般に1週間で睡眠の質が改善し、2週間で疲労感の減少、3週間で気分が改善する。プロザック同様に、1ヵ月間でまったく効果が出ない場合は無効と考えられる。

また最近の研究では、より重症の欝病などではhypercinで1日最大5.4ミリまで問題なく使用できることが明らかにされている。

どれくらいの期間服用するか?

欝病の治療では抗欝剤は数ヵ月は服用する。セントジョンズワートの場合、多くの研究者は最長で8ヵ月から12ヵ月で一度服用を中止することを勧めている。(実際は何年間も問題無く服用している人も多いが)

中止する場合は一般には徐々に減量する。欝病が再発した場合は服用を再開するが、最低3ヵ月は安定していることが多い。

副作用は無いのか?

セントジョンズ・ワートには副作用がほとんど無いが、稀に日光過敏症が出る場合がある。hypercinが1日1ミリグラム程度では出現することは少ないが、服用中は強い直射日光を避けたほうが安全である。

抗欝剤からの変更や併用は可能か?

1週間から2週間かけて変更することは可能であるが、医師の管理下に行なう必要がある。併用に関しては余り研究は無いが、プロザック様作用を呈することより、少なくともSSRIは減量する必要がある。この場合も医師の管理が必要である。

費用はどれくらいか?

プロザックと同様保険が利かない。しかしプロザックが20ミリ入り1カプセルが500円であるのに対し、セントジョンズワートは1カプセルが50円である。現在使用している製品では、hypercinを3ミリ程度取るためには1日300円で済む。


まとめ

セントジョンズ・ワートは、軽度から中程度の欝病の治療に有効で安全なハーブである。また、 不安障害や気分が落ち込みやすい人、ストレスを感じている人にもまず勧めたい。

服用量はhypercinで1ミリグラム程度からはじめ、1週間で改善がまったく認められない場合は、1日2ミリグラムに増量する。効果の発現を速く確かめたい場合は、1日2.7ミリぐらいから開始し、3週間で効果がでなければ1日5.4ミリに増量してみる。他の薬からの変更、併用等に関しては医師と相談の上行なうこと。

効果が出たら数ヵ月続け、徐々に減量して1年以内に中止する。