「冒険者が私生活にお金を使わない」


弟子 「冒険者の店に入っても酒も注文せず、食事も一番安い物しか頼まず、寝るのも野宿か一番安い部屋。手に入れたお金は武器防具の強化にしか使わないPC。」という あいあむ さんの質問です。

GM ふむ。まあ、酒場で豪遊してもキャラクター的には一文の得にもならないからな。


弟子 たいていのルールには1日の生活費とか書かれているけど、どんなに高レベルになっても、この金額しか払わないしね。

GM まあ、レベルに合わせた生活費計算とか、キャラの浪費度とか、そんな面倒なことにシステム作る時間を割くならもっと有効に使うだろうな。

弟子 まあ、そんなシステム作ってる所は皆無ですね。

GM それと。最近のシステムは、レベルが上がると高額高性能の装備が装備可能となり、結果、そちらに優先的に資金が回る状況もある。古いシステムみたいに、2〜3回も冒険すると必要装備がそろってしまいお金の使い道に困る。というシステムではなくなってきているんだ。

弟子 まあ、そういうシステムではどうしようもないですね。

GM そのとおり、しかし、これはTVゲームではない。TRPGである以上ロールプレイングに関してこの辺は変わってくる。

弟子 ふむ。

GM 例えば冒険者の店とは冒険者を斡旋する紹介所だ。

弟子 そうだね。

GM 不幸なことに冒険者とはPCだけではない。

弟子 世の中住所不定無職の殺戮快楽者は大勢いると・・・

GM いや、そこまではいってないぞ。しかし、ここで重要なのは
依頼を振り分ける決定権は冒険者の店の裁量次第なのだ。ならば、普通に食事をしてお金を落としてくれる冒険者に仕事を回したほうが、冒険者の店的にも「冒険成功→酒場で宴会=酒場も儲かる」という図式が成り立つ。

弟子 つまり財布の紐が固いPC一行は干上がると・・・

GM まあ、こうなった場合。
彼らのような冒険者に回ってくる仕事は「報酬がしょぼく。誰も受けてくれない依頼」か「他にいなくてPCにしか頼めない依頼」になる。そして、これらの冒険は発生する状況が限られてくる。

弟子 結果、滞在費&生活費がかかるわけですね。

GM トータルの経費は所詮はイコールで結ばれるわけだ。が、ここで注意してほしい。

弟子 なんです?

GM 
PCを困窮させることが目的ではないということだ。前述したが、「武器防具の強化」をしているという事は、お金を必要としている装備があるということだ。もちろん「装備を買ったら明日の生活費もないや〜」とか言っている計画性皆無の人にわざわざ手心を加える必要もないが、ほしい装備の為にお金をためている人の貯金をむしるような真似は、最悪の方法とも言える。

弟子 貧困は犯罪への道と言う事も在りますからね。

GM まあ「この程度の散財ははした金だぜ」とか「損をして得をとれ」といった感覚を教える事が重要なわけだ。

弟子 その辺のさじ加減が難しいかな?

GM 無難な所で無駄な出費をさせる場合の基準を、
「依頼の報酬で交渉により上乗せされる金額 > 無駄な出費金額」くらいにするのがいいだろう。交渉に成功すれば損はしない程度なら、PCだって我慢する可能性が高い。無駄な出費をさせる場合も・・・


例)
冒険者「なんかいい仕事はないのか?」
オヤジ「う〜ん。ついさっき実入りのよさそうなのがあったんだが別の冒険者に依頼回してね〜」
冒険者「何で、俺たちに回さないんだよ。」
オヤジ「依頼成功したら、あっちは宴会開いてくれるからな。」
冒険者「…」
オヤジ「実は、かわいそうな身の上で、オレも紹介料をとってない依頼がひとつある。成功したらうちで(生活費の5〜20倍程度の)宴会を開いてくれるというのなら、オレも損をしないし誰も損をしないんだが、どうだね?受けてみるか?」


GM といった
ロールプレイで、PCに酒場でお金を使う大事さを教えるのもいい方法だ。この場合、NPCも人情で得をしていない事をさりげなくアピールしておく事だ。一人だけ得をしているようだと恨まれるから。むろん、「お前たちが金を使わないから依頼をまわさないんだ!!」とか「(勝ち誇った顔で)お金を使うことも大事だね〜」とかわざわざ言うと顰蹙を買う。ロールプレイで理解させることが重要なんだ。

弟子 結構こすっからい手を・・・

GM 
無駄な出費は所詮ロールプレイ上のはなしだからな。ロールプレイ上のメリットを教えるのもいい方法だよ。その方がNPCにも個性が出るって事だ。宴会中に別の冒険者と意気投合して、別の冒険の助っ人を依頼されるとかシナリオを作れる。

弟子 師匠師匠。

GM ん?

弟子 そんなことしないで報酬とか財宝を下げていけば、やつら貧窮しますぜ。どんな依頼でも無条件で飛びつきますって。

GM 目的忘れてどうする!!実入りがなければ誰が無駄な出費をするんじゃああああ!!
(弟子光になる)



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