「TPRGしようぜ〜。」
始まりは、そんな一言であった。
「メンバーがねぇ…」
大学時代と違い、地元に戻り社会人となり、離れて暮らす現在。お互い会える時間は急激に減った。
正直、相手の家に移動するだけで疲れる始末だ。
移動で疲れた体に、TRPGという荒事は正直つらい。泊り込むくらいの時間的&精神的余裕がないと難しい。
「それならオンラインゲームにすればいいじゃん。」
おお、なるほど、それなら自宅にいても出来るではないか!!
それまでは友人のネット環境が整わなかった為に頓挫した企画である。しかし、先日友人の環境がととのったばかりだ。
「それじゃシステムとかはマスターにまかせるね。プレイヤーが1人たりない?それじゃあ、知り合いを誘ってみるよ。」
おお、とんとん拍子に話は進む。そう、われわれはTRPGに飢えていたのだ。
「それじゃマスター。日時はおって知らせてくれ。」
おうよ。任せておけ。
以上がチャットシステム上での会話である。
夜も更けたのでログオフ。
PCの電源を落として布団に入る。
そして布団の中で気が付く。
なんで私がマスターなのだろう。
参加者説明
「GM」
いわずと知れたゲームマスター。世界観崩壊寸前のNPCと適当な想像力で話をつなげることに定評がある脊椎反射マスター。よい子はまねしないでください。
「けむし」
今回の被害者。このGMのプレイヤーは初めてと言う無垢なる存在。今後の成長に期待すると共に、最終段階でGMの罪科の示すバロメーター。
「七宮」
GMとも古い付き合いの悪魔超人。モラルや良心といった項目は優先順位の外におかれている為、情の挟む余地のない戦術戦略を組建てる悪魔の計算機。その合理性から付いたあだ名は『インテリヤクザ』。陰謀の宰相。
「ななき」
シナリオ進行とサポートのスペシャリストにしてGMの人権を認めない通称「マグロ勇者」。その存在はシナリオ崩壊をとめるストッパーなのだが、発動するかはランダムなので、微妙に安心できない制御装置。このGMのシナリオでは役に立たない熱血スキルが高い。
「アル」
数少ない良識派にして這いよる混沌。場数を踏んだTRPG暦を誇り、パーティーで稀有なリーダーシップを発揮するも、その精神構造はなぞな部分が多く、シナリオ進行に貢献するかと思えばわき道に全力で走り出す壊れたチョロQのような存在。
・・・何でこんな友人しかいないのだろう。