キャラクター作成「マスターはこうして苦労する」


 GMをするものにとって、おそらく最高に楽しく、後に最悪の事態を招くものと言えば何か。おそらくキャラクター作成と呼ばれるものだろう。なぜなら、そこにGMの意志はほぼ介入する余地はなく、にもかかわらず、GMの作成するシナリオには否応なく介入するからだ。作成を当事者ではなく他人事で眺めることが、これほど恐ろしいことはない。
しかし、それはシナリオを遂行するプレイヤーにも言えることなのだ。


プレイヤー1 セブンフォートレスのキャラクターを作るぞ。

プレイヤー2 どうやって作るの?

プレイヤー3 任せて。私3人も作ったことあるから。

GM ………

プレイヤー1 GM元気ないぜ。どうした?

プレイヤー3 どうしたの?。TRPGは元気が一番だよ。

GM (ぼそっと)
騙された

プレイヤー2.3 ?

GM 騙されたーーーー!!!

プレイヤー1 (笑っている)なにが?

GM テメエにだプレイヤー1。
合コンじゃなかったのか?今日は、どう見てもセッションじゃねえか。

プレイヤー1 男2人に綺麗な女性2人でお互い話しをする。しかもその女性の家でだぞ。十分だろ。

GM 10年来の女友達と合コンするか!!
ダマされた〜〜〜〜!!

プレイヤー2.3 変わってないね。二人とも。(笑)


煩悩は悪行の一つである。そして「悪銭身につかず」と言う言葉もある。


プレイヤー1 んじゃ、GM。シナリオつくっときな。はい2.3キャラをつくっとこうね。ダイスはあるだろ…

プレイヤー3 どんなのがあるの?

プレイヤー1 うむ、戦士とか魔法使いとか。変わったところで勇者なんてのもいる。これチャートね。

プレイヤー2 
みんな死ぬ。(笑)


ルールブックをもっていればわかるだろう。(クラシックのルールブックからコピーしたらしい。笑えることは認めよう)


GM (シナリオを作りながら)………おい。プレイヤー1

プレイヤー1 どうした。シナリオできたか?

GM そんな簡単に作れるか。それより、ずいぶんと用意がいいじゃねぇか。

プレイヤー1 ふっ。「勝つべくして勝つ」用意してこそ勝利は得るのだ。

GM だったらシナリオも用意してマスターしろよ。

プレイヤー1 面倒じゃん。

GM ………


ずいぶんな言いぐさだ。この後、2人に何があったかは記述しないでおこう。


プレイヤー1 さて、GMも快く理解してくれた所でキャラを作ろう。

GM 
異議あり。

プレイヤー1 
(無視)クラスなにやるか決まった?

プレイヤー2 私ウォリアー

プレイヤー3 私はメイジウォリアー

プレイヤー1 ふむ…勇者がいない。面白くないから勇者にしよう。ウォリアーより勇者の方が面白いから勇者にしなさい。

プレイヤー2 え〜。勇者ってアレでしょ「俺の正義が〜」って熱い奴じゃん。めんどくさそうだな〜

プレイヤー1 大丈夫。勇者だからって
イイ事しなきゃいけない必要は何処にもない。クソ外道な勇者だって立派な職業なんだ。なにせ勇者はやたらと強いからな。強者こそ正義。強い勇者こそ正義だ。何をしたっていいんだぞ

プレイヤー2 へ〜。んじゃそれで行こう。楽しみだな〜

GM 
異議あり

プレイヤー3 
(無視)勇者が強いならメイジウォリアーやめてメイジにしようかな。

プレイヤー1 よいよい。どうせもう一人前線に出なければならなくなるんだから、メイジウォリア―のままでイイよ。となると、回復魔法がないな。よし、僕はプリーストだな。うむ、パーティーバランスはそろったな。そういや
「勇者」の判定していないが、まあイイだろう。

GM 
異議あり

プレイヤー1 
(無視)じゃあお楽しみ。特徴チャートを振ろう。これは恐ろしいぞ〜

プレイヤー2 どう恐ろしいの(笑)

プレイヤー1 
人外の世界へ旅立てるほど異様な特徴なのだ。最悪、移動する災になれる


恐ろしい事に事実だったりする。


プレイヤー3 私も3人作ったけど、マトモな奴はいなかったわね。(笑)

プレイヤー2 おもしろ〜い。さっそく振ってみよう。

プレイヤー1 おっと、属性が決まっていなかったが、まいいか。たいした違いはないだろう。

GM 
異議あり。

プレイヤー1 
(無視)じゃあまず勇者からだ。ダイス66を4回振りたまえ。

プレイヤー2 はいはい。15、26,35,44

プレイヤー1 フムフム攻撃力の上がる「チャージ」特殊防御を打ち破る「結界破壊」プリースト魔法の使用MPを軽減する「守護者の加護」特殊能力を無効化する「陰の気」だな。なかなか面白くなったぞ。ふむ、ここに書きこみたまえ。

プレイヤー2 は〜い

プレイヤー3 私は防御系の「見切り・弐」「属性防御・弐」「属性防御・壱」MP自動回復の「魔力回復」う〜ん。魔法使いぽい。

プレイヤー1 むむ、面白い特徴がないな。よし僕は自由の所を『変異系・2』で振ろう。まずは神官系。ウリャ……ブシッ「66:変異系2を振る。」

プレイヤー2・3 (爆笑)

プレイヤー1 なんの振ってやろうじゃねえか。ウリャ53ええっと「怪しい家系」……なんのまだ振れる。うりゃ、不死系から攻撃されない「聖なる結界」にクリティカル・ファンブルの増える「混沌の運命」。プリーストなのにファンブル増える!?ええい、最後の難関でりゃ「54:その逃げ足、光の如し」。ウガァ・・どんなプリーストだ!!

プレイヤー2 ものの見事に変なキャラクターになったね。

プレイヤー1 見事すぎて声も出ねぇ。さて次は属性だな

プレイヤー3 私、メイジウォリアーだけど『冥力』が高いのがイイな…第一属性「幻」第2属性「闇」に決定。キャラシートに書きこむぞ〜


Adルールブック29ページの戦闘力数値だけ見ると酷い目にあうと言う事をこの娘は知らない。


プレイヤー2 勇者はどんな属性がいいの?

プレイヤー1 悪いのはない。どう言うキャラクターをやりたいかによる。接近戦闘系なら力の高くなる「炎」やすばやい「氷」。万能系なら「空」や「闇」術系なら「森」や「海」

プレイヤー2 う〜ん。戦闘系でやるけど万能っぽい『炎』『空』。勇者は万能でなくちゃ。

プレイヤー1 よしよし、それはそれで凄いぞ。僕はプリーストだから回復のみ重視で『海』『森』だな。でっきあがっり〜。

プレイヤー2 これで終り!?

プレイヤー1 うんにゃ。まだ少しあるけど、面白い所はこれで終り…っと、まだ性格決定が残っているじゃないか。

GM うれしそうだな。プレイヤー1

プレイヤー1 おおよ、
まじめな設定のキャラクターをこの判定でクズに変えられた経験は伊達じゃねぇゼ。 


自慢にもならん


プレイヤー3 んじゃ私振るね。1D6…「1」「かつては第1性格だったが、今は第2性格」…えっとD66を2回で33と、15「かつては用心深かったが、今は正直である。」…どうやってロールプレイしろと…

プレイヤー1 よいよい。どうせ目安にすぎん。実際公式リプレイの人もそんなに重視していなかったし。

プレイヤー2 フムフム…えっと1D6で「2」。D66で「55」と「63」…「普段は
変態だがイザとなると小心物」なにこれ!!

一同 爆笑

プレイヤー1 
変態勇者誕生(笑)おっと、僕は…「4」の「13」「33」っと「自分は笑顔を絶やさないと思っているが、実は用心深い」…むう、また面妖な。

プレイヤー2 特徴よりこれを振るから、まともにならないんじゃ…


人外ではなく社会不適合者になる。その比率極めて高し。


さて、こうして。もはやまともなプレイを期待するなと言いたくなるパーティーは出来あがる。ちなみに、これ以後の作成状況をピックアップすると。もはや阿鼻叫喚の地獄絵図にしかならない。

「幻属性のせいで筋力6.何も持てな〜い!!」
「変態変態変態………」
「見よこの回復量。まさにジ○ン脅威のメカニズム。」
「闇を第2属性にしたせいで攻撃魔法の発動値が〜」
「下着ドロ…露出狂…同性愛者…ロリコン…」
「くかかかか。回避が5。死ねる」
「ねぇ。プラーナってなに?」
「この表を見ればわかるだろう(クラシックのルールブックの22ページの図を見せる)」
「管の位置か怪しい…」
「そういや、レベルアップすると転職できるよ。」
「えっ!?そうなの?」
「勇者には意味ないよん」
「変態差別〜。変態にも職業選択の自由を〜」
「もはや身も心も変態に…」


一応、このキャラクター達を紹介しておこう。一応、この後も付き合わねばならなくなるのだからな…

「変態勇者」 プリン=スープーン  (女・18歳。炎・空)
特徴 『チャージ』『結界破壊』『守護者の加護』『陰の気』
最終(装備後)戦闘力
命中7 回避11 攻撃27 防御16 冥力10 神力9 練気力10 行動値9
装備 ハルバード。ハードレザー
魔法 炎の箭(炎)  反冥鏡(炎)
借金 115G


「非力魔法戦士」  カイ=メリック (女。16歳。幻・闇)
特徴 『見切り・弐』『属性防御・弐』『属性防御・壱』『魔力回復』
最終(装備後)戦闘力
命中11 回避9 攻撃16 防御11 冥力12 神力9 練気力11 行動値7
装備 レイピア ミドルシールド。革肩ショルダー(両方)
魔法 漆黒のつぶて(闇) そのウソほんと(幻) 散らされし力(幻)
借金 145G


「怪しすぎる神官」 リック (男。21歳。海・森)
『怪しい家系』『聖なる結界』『混沌の運命』『その逃げ足、光の如し』
最終(装備後)戦闘力
命中7 回避5 攻撃8 防御12 冥力13 神力16 練気力8 行動値6
装備 ウッドスタッフ。サークレット。革肩ショルダー(両方)。ローブ
魔法 命の水(海) 神水(海) 海盾(海) 聖なる葉(森)
借金 110G



GM よお、設定決まったか?

プリン どんな変態にしよう?

GM 悩むねぇ。当たり前だけど

プリン 18禁はダメ?

GM 極力ご遠慮願いたい。とてもセッションに役立てないよ

プリン う〜ん…なんとか設定をいかしたいな…


変態を生かそうとする勇者プリン。ある意味その心意気を誉めたい


リック ふっ「怪しい家系」を決定した。

GM ほう…スゲエ聞きたくないが、聞いてやろう。なんだ?

リック 
KKK団よろしく頭からスッポリ覆面をしているんだ。(笑)

一同 (マサルさん風に)怪しい…(爆笑)

リック しかもさらに怪しいことに「家系」だから
家族一同覆面(笑)

一同 (爆笑)

リック 
親戚一同集まって正月迎えると皆覆面(笑)

一同 怪しすぎる〜(悶死)

カイ う〜ん。私の設定なんか薄いな。

GM 無理にキャラ濃くしなくていいよ


すべからく、すべてのGMの心から声である。そして、それを聞き入れられる事は少ない。


カイ いや。なんか付ける。

GM (あきらめた様に)さいですか…

カイ ………思いつかないや。シナリオ中に考えるよ。

GM また、GMの負担を増やしてからに…よし始めるぞ

一同 ほ〜い



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