蒼  鷺(あおさぎ)
作詞 更科 源蔵  作曲 長谷部 匡俊

若い友人Hさんが大好きな曲で、学校の先輩が歌いこなして市内の音楽会に出たのを
当時は凄いと思ったそうです。

蝦夷榛(えぞはる)に冬の陽があたる
凍原の上に青い影がのびる
蒼鷺(あおさぎ)は片脚(かたあし)をあげ
静かに目をとぢそして風を聴く
風は葦を押してきて
又何処かへ去って行く

耳毛かすかに震(ふる)へ
寂寞(せきばく)の極(きは)みに何が聞こえる
胸毛を震はす絶望の季節か
凍れる川の底流れの音か
それとも胸にどよめく蒼空への熱情か

風は吹き過ぎる
季節は移る
だが蒼鷺は動かぬ
奥の底から魂が羽搏く(はばたく)まで
痩せほそり風に削られ
許さぬ枯骨となり
凍った青い影となり
動かぬ