「新しい人」に
作詞 大江 健三郎  作曲 信長 貴富

1.私は好きだった、
 信じることの できる自分が。
 人を、生きている世界を、
 その未来を 信じると、
 私がいう時、
 星ほどの数の子供たちが、
 信じる、といっているのを感じた。

2.ある日、信じるといえなくなった。
 私が生まれる四十年前の夏、
 一瞬の光が、
 子供たちを、
 ガスにしてしまった、と知って。
 それから、
 信じるといおうとすると、
 ガスになった子供たちが、こちらを向く。
 ガスになった目で、 私を見ている。

3.いま、私は、
 古い 古い 手紙を、教えられた。
 争う者らを 和解させる、
 「新しい人」が来た、という手紙。
 私は、胸のなかでたずねる、
 もう一度、「新しい人」は来るだろうか?
 世界じゅうの子供たちが、
 それぞれの 言葉で、答える。
 −−−きっと来てくれる、心から信じるなら。
 「新しい人」に、私は祈っている、
 来てください、あなたと働きたい私らの、
 いま、ここへ!