混声合唱組曲
「焔の歌」


火の山
藪田 義雄 作詩  清水 脩 作曲

火の山が火を噴いた、
焼けただれた溶岩は四方へ押出し、
火山灰は天日(てんじつ)を暗くした。
くる日も くる日も
山は咆(ほ)えつづけ、大地は震動した。

火の山が火を噴くのは
さびしいからだ、
誰にも相手にされない孤独から
山は血を以(もっ)て肉を以て火を噴いた、
そうだったのだ。

ある日、たそがれの闇のなかに
青い光がひとすじ浮かんだ、
荒れはてた世界に
どこから来たのか この小さな命は。
かすかに息づく青い蛍よ。

山は感動して火を噴くのをやめた。
そのしののめ、
ほたるの光と外光とが一つに溶けあった時、
山にはふたたび花が咲き
鳥が啼いた。