混声合唱組曲
「富山に伝わる三つの民謡」
作詞構成・作曲 岩河 三郎  入力 友人H  加工 tuusic

むぎや

長い冬が
長い冬が作り出す
山と谷間の雪人形
手をつないだ雪人形

平家の落人(おちうど) 紋弥爺さんが
人形山に向って 呼びかける

『イナー アイナー エイナー イナー』
山がこだまする
『イナー アイナー エイナー イナー』

雪がとける 雪がとける
山合いの雪人形が 手をはなす
春だ春だ 春だ春だ
紋弥爺さんの歌う「むぎや」が春を呼ぶ
五箇山の里に「むぎや」が春を呼ぶ

  『ジャントコイ ジャントコイ

   麦や菜種はイナー 二年でイナー
   刈るにアイナー
   麻が刈らりょうかイナー
   半イナー土用にイナー

   ジャントコイ ジャントコイ』
紋弥爺さんの
歌う「むぎや」は 春の歌 喜びの歌
『イナー アイナー エイナー イナー』

歌え歌え「むぎや」の歌を
歌え歌え 五箇山の春を讃える歌を

  『ジャントコイ ジャントコイ

   麦や菜種はイナー 二年でイナー
   刈るにアイナー
   麻が刈らりょうかイナー
   半イナー土用にイナー

   ジャントコイ ジャントコイ
   ジャントコイ ジャントコイ
   紋弥爺さん ジャントコイ』









<岩河三郎先生の解説>
 場面を早春にして、この歌の中にある方言の『イナー アイナー エイナー』のことばや、この歌を歌いひろめたといわれる平紋弥(たいらのもんや)という人を『もんやじいさん』という主人公にし、早春に残雪のある山々に向って『イナー アイナー』と大きな声で呼びかけると、山がこだまを返してきてだんだん春になると言う筋書きにしてみました。もと歌が歌われたあとは、春の喜びの歌が明るく続き、そのままフィナーレとしてもと歌を高らかに歌い踊り、北国の春を謳歌するのです。