混声合唱組曲
武 蔵 野
作詩 島崎 光正  作曲 飯沼 信義



T.春の章

春はあけぼの
芽ぶきをいそぐ
楢の林の
どこかの小鳥の巣の中で
かすかに一つ
澄んだ鐘を打つ
囀り(さえずり)の さいしょのしるし
やがて
いっせいに眼を覚まし
割れる
ピッコロのくす玉
歓喜のうたは
きらめき
きらめき
呼びかわす
永い闇を耐えたのだと
時の旅人と伴れだって
つるべの水も凍っていた
遠い国より来たのだと
山鳩の羽ばたきも聞こえてくる

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