石垣りんの詩による五つの混声合唱曲
朝のパン

作詩 石垣 りん  作曲 萩 京子

4.種 子

そういうことは
もうこの辺で終わりにして。
まだ見きわめもつかない
自分の内面などという
私有に関する
もっともらしいことが
どの位くたぶれた衣装であるか
脱ぎ捨ててみて。
一本の草のように
すっきり立ってみたいと。
風のはやさで
世界が吹きすぎて行くなら。
国家財産名誉格式
ごちゃごちゃしたひとかたまりの町を
遠く見おろす丘のあたりで。
どんなにさわやかにこの秋
枯れてゆけるかと。
手の中で明日への祈りを
どっさり握りしめている。