混声合唱のための組曲
復  活  より

わすれられた海

作詞 鶴見 正夫  作曲 荻久保 和明

秋の日本海、
それは わすれられた海。

浜辺には 人もなく
旗もなく うた声も聞こえず、
あるのは、 ただ
一そうの廃船。
そのへさきにとまる
一羽のカラス。

紺青の海 そよぐ風
やすろう波
地球の円さを教えるために
水平線は際立つ

いったい わすれられた海の
この紺青と静けさは
だれのためのものか。

ひと日 ひと日、
風にさらされ、 砂にうもれ
なお、 海を見つめて生きる
過ぎた日の勇者よ。

わすれられた海は、 きっと、
おまえのためにあるのかもしれない。

秋の午後 浜辺に立てば、
ただ、 あるのおは
一そうの廃船、
そのへさきに
一羽のカラスがとまる。