混声合唱曲のための組曲

蔵   王

作詩 尾崎 左永子(磋瑛子)  作曲 佐藤 眞       カワイ出版

蔵王讃歌

万緑充(み)てる 蔵王
からまつの林は
いまぞ花の季(とき)
はるかに
ああ峰は遠く
山の春は
いま去りゆく

白樺の
若葉揺れて
はれわたる
山の空

ささやくは
山の言葉か
森の上に
昼の月

ああ蔵王 蔵王の山
みちのくの
空にそびえて
蔵王うるわし

 麓いちめんのナノハナが終わり、やがて青葉。
つやつやとしたさくらんぼの実が、枝もたわわになる頃、蔵王の山肌は藍色に、きびしい光を放ちはじめる。夏だ、峰々をめざして、都会の若者たちがやってくる。
 雲を仰いで、さくさくと噛むリンゴに、若者の歯が皓い。