銅板絞り
1枚の銅板を金槌で叩いて形を立体におこしていく。
言葉だけで説明されても、さっぱり不明なこの作業。
あまり耳にしないであろう「絞り」という基本的な技法の紹介です。
1.切り出し
まずは銅板を切り出します。
ジグソーで大まかに切り、切り鋏で円形に切ってゆき、縁をヤスリで整えます。
2.鈍し(なまし)
火床とバーナーです。
切り出した状態では硬いのですが、鈍すと手で簡単に曲げられるくらい柔らかくなります
※鈍し=焼鈍ともいいます
銅板をバーナーで、うっすら赤くなるまで熱して鈍します。
写真を取り忘れて、これと下の写真は一度絞ったものなので
少し丸みがついてます・・・
酸化膜に被われて真っ黒です。
3.酸洗い
酸化膜を落とすため、希硫酸(水で濃度15%に希釈した硫酸)につけます。
希硫酸から出し、残った汚れを
重曹で洗い落とします。
酸化膜が取れるとこんな感じになります。
4.叩きだし
平らな銅板からは絞りづらいため、あらかじめ浅い丸を彫った木台の上で、叩きだして少し丸みをつけます。
このときは木製の橦木鎚(しゅもくづち 一番右)を使います。
同心円の作品を作る場合
中心から円を描き、これに沿って絞ります。
打ち場所がずれていくと形が歪むので
これが大切です。
5.絞り(1)
当て金です。
この上にの銅板をのせ、金槌で叩いて絞っていきます。
後ろの木槌(掛矢《かけや》)は当て金を打ち込むときに使用します。
少し絞ったところ。
元の形より少し角度がついてるの分かるでしょうか?
最初は鎚目の間隔を広く取り、粗めに絞ります。
端近くまで絞りました。
端は絞の最中のしわが寄り、ひらひらしてます。
延びすぎないように木槌で叩いて整えます。
絞り始めよりも丸くなりました。
1度絞ると締まって硬くなっているので、
また鈍して柔らかくします。
6.絞り(2)
3回目の絞り、1周の途中です。
段差が分かるでしょうか?
この段差の分が”絞れ”て内側に入っていくわけです。
一回に絞る量(叩いて変形させる量)が多くなると、
金槌の鏡が丸い側では絞りづらくなります。
その時は、反対の細い(当たる面積が小さい)方を
使用します。
結構丸くなりました。
逆さにするとこんな感じです。
7.絞り(3)
5回くらい絞り終わったところです。
口(上の部分)をすぼめていくため、底は丸く、側面を真っ直ぐにしていきます
口をすぼめるように絞ります。
当て金の種類は更に必要になります。
8.当て金
真っ直ぐの当て金では、当たらなくなったため、”への字”と呼ばれる奥の3本位の当て金を利用して絞ってていきます。
大きさや角度により、当て金の種類がそれだけ必要になります。
元の板と比較してみました。
こんなに丸くなりました。
9.絞り(4)
更に絞ってすぼめます。
当て金を換え、角度を意識しながら絞ります。
絞りながら、口の部分をつくります。
立ち上がった感じにします。
10.均し(ならし)
金属の延展性を利用して、鈍さずに同じところを何度も叩くと形に張りが出てきます。
これを均し(ならし)と言います。
鎚目も消えて、より丸くなります。
色上げをして仕上げます。
今回は六一〇ハップ(むとはっぷ)で着色し、蜜蝋を薄く塗りました。
色上げの話はまた別の機会に。