[資料1] 起 訴 状

※ 媒体の性質上、縦書きの文章を横書きに改め、漢数字を算用数字に直しましたが、内容はほぼ原文通りです。


 左記被告事件につき公訴を提起する

昭和42年12月28日

水戸地方検察庁土浦支部

              検察官事務取扱

              検 察 官 検 事     吉 田 賢 治

 水戸地方裁判所土浦支部殿

 

1.被 告 人

 本籍 茨城県北相馬郡利根町大字中田切395番地

 住所 不 定

    ビル清掃業        別件勾留中求令状   桜 井 昌 司

                          昭和22年1月24日生

 本籍 茨城県北相馬郡利根町大字押戸1451番地の1

 住所 不 定

    無 職          別件勾留中求令状   杉 山 卓 男

                          昭和21年8月23日生

 

2.公 訴 事 実

 被告人桜井昌司はビルの清掃夫として働いているものであり、被告人杉山卓男は定職のないものであるが、いずれも競輪に興味をおぼえ、その資金にこと欠くに至り、たまたま昭和42年8月28日午後7時20分頃、茨城県北相馬郡利根町所在栄橋たもとで出会った際、互いに金策の話し合いをするうちに、他から金を借りることになり被告人桜井の知り合いである同町大字布川2536番地玉村象天(当時62年)方に赴き、被告人桜井において同人に借金を申し入れたがすげなく断られ、巳むなく一旦栄橋付近に引き返したものの競輪の資金を捻出することをあきらめきれず、どうしても右玉村から金を借り受けようと決意し、再び打揃って右玉村方を訪れ、まず被告人桜井において同家の勝手口から屋内にあがり込み、同人に対し借金を申し入れたところ同人から全く相手にされず、これを拒否されたためこれに憤慨し口論となり、その様子を右勝手口の外から目撃した被告人杉山においても右玉村の態度に憤慨して屋内にあがり込み、右玉村に対し借金の申し入れに応ずるよう申し向けたが、却って帰れと拒絶されて益々憤慨し、ここにおいて被告人両名は金欲しさの余り、この際むしろ同人を殺害してでも現金を強取しようと決意し、共謀のうえ同日午後9時頃同家八畳間において、同人を仰向けに押し倒し馬乗りになって押えつけ、タオルおよびワイシャツで両足を緊縛し、口に布を押し込んで閉塞し、頚部に布を巻き両手で扼し、よってその場において同人を気管閉鎖による窒息死にいたらしめてこれを殺害したうえ同八畳間の押入れ等から同人所有の現金合計約10万7千円を強取したものである。

 

3.罪 名 及 び 罰 条

 強盗殺人   刑法第240条後段、 第60条

 

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