BUZZCOCKS /
ANOTHER MUSIC IN A DIFFERENT KITCHEN

(1978)

 ロンドンでパンクのムーヴメントが勃興する中、マンチェスターで結成されたパンクバンドバズコックスが、オリジナルメンバーであり、後にマガジンを結成するハワード・ディヴォートの脱退を経て発表したデビューアルバムです。
 既に彼らは前年にインディーズの先駆けともなった伝説のEP『SPIRAL SCRATCH』を自主制作で出しているので、セックス・ピストルズ、クラッシュ、ダムド等と並べても差し支えないと思います。それどころか彼らのサウンドの疾走感はそれらのオリジネイター達を凌駕する勢いがあります。私も初めて冒頭の「FAST CAR」を聴いたときは、その電気ノコギリのようなギターの音色に圧倒されました。
 また、彼らの曲にはそういったパンクならでは疾走感溢れる騒々しいサウンドでありながら、胸を締め付けられるような切ないメロディーがあるのが最大の魅力です。そのメロディがヴォーカルのピート・シェリーの情けない声質に妙にマッチしてたまりません。情けないと言えば、パンクのクセに歌詞も微妙に情けない感じでいとおしくなります。
 90年代になってなぜか再評価され、そのおかげで再結成、来日までしてしまいました。切なさ&情けなさは相変わらずの現役バリバリです。

2003/04/20


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