MIDGE URE / ANSWERS (ANSWERS TO NOTHING)

(1988)

 第二期ウルトラヴォックスが実質的に活動を停止した後に出た、ミッジ・ユーロ2枚目のソロアルバムです。
 ミッジの交友関係から参加ミュージシャンはなかなかの強者揃い。ウォーレン・カーンが不参加だった第二期ウルトラヴォックスのラストアルバム『U-VOX』から引き続きドラムにはビッグ・カントリーのマーク・ブレゼジッキー。ベースは1stソロ同様主にレヴェル42のマーク・キングですが、1曲だけ元ジャパンのミック・カーンも参加しています。
 バンドエイドやプリンストラストといった大きなプロジェクトの音楽監督役を担ってきたことから、既に彼は英国の音楽業界において最も重要な人物の一人として捉えられていたのでしょうが、逆に彼自身もそういった経験を通して確実にミュージシャンとして貫禄を身につけていった感があり、それがこのアルバムのサウンドに如実に表れています。例えばアフリカの民族音楽っぽいイントロで始まる冒頭のタイトル曲なんて、さながらピーター・ゲイブリエル風。また、ドラマティックな3曲目「SISTER AND BROTHER」はなんとケイト・ブッシュとのデュエットで、ひょっとしたらこのあたりもピーター・ゲイブリエルを意識したものかも知れません。さらに、心が洗われるような清澄な始まり方からナチュラルなメロディを展開する「DEAR GOD」には、人間的にも一まわりも二まわりも大きくなったミッジの姿があります。かつてファッショナブルにキメて精一杯かっこつけていた伊達男が、チャリティー等を通して人間的に成長し、音楽的にも円熟味を増した作品になった、…なんて言ったらミッジに失礼かな?
 

2005/02/06


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