BANKSTATEMENT / SAME

(1989)

 トニー・バンクスが二人のヴォーカリストを擁して組んだユニット、バンクステイトメント唯一のアルバムです。
 フィル・コリンズ、ピーター・ゲイブリエルがそれぞれソロアーティストとして成功を収め、マイク・ラザフォードまでがメカニクスを率いてブレイクしてしまったのを、トニーはどんな思いで受け止めたんでしょうか。「ヴォーカルアルバムより映画音楽に興味がある」などとうそぶいておりましたが、心中穏やかではなかったのかもしれません。
 そこで、アルバム冒頭に据えられたシングル「THROWBACK」は明らかに気合いを入れてヒットを狙ったんでしょうが、残念ながら不発。改めて聴くと、俗っぽい曲調や陳腐なホーンのアレンジがむなしさをかきたてます。男性ヴォーカリスト、アリステア・ゴードンの凡庸な声質もそれを助長するに充分。
 では、ダメなのか?否!2曲目以降、後期ジェネシスのサウンドを支えたあの独特のキーボードサウンドは全開です。特に例の寄せ手は返す波のような音色をふんだんに使ったスローな曲においてはトニーの魅力が最大限に生かされています。女性ヴォーカリスト、ジェイニー・クリメクはけっこうハマってるし。
 他に参加メンバーで目を引くのは、ギターだけでなく、プロデュースにまで関わった元ゴングのスティーヴ・ヒレッジ。出自がプログレ系という点ではしっくりくるものの、ちょっと意外な取り合わせでした。

2005/07/24


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