PHIL COLLINS / BOTH SIDES

(1993)

 ジェネシスでもソロでも、集大成的なライヴアルバムを出してキャリアを総括した後のフィル・コリンズの5枚目のスタジオアルバムです。
 ソロアーティストとして大ブレイクした勢いを本家ジェネシスにももたらしたフィルでしたが、このアルバムあたりからセールス的には徐々に翳りが見え始めています。でも、大成功を納めた後、悠々自適のソロ活動に入ったと考えることもアリじゃないでしょうか。個人的にはエンターテインメントに徹し大ヒットした前作『...BUT SIRIOUSLY』より、マイペースな創作活動から生み出されたこのアルバムに、より魅了を感じています。
 初のセルフプロデュースである上に、全ての演奏を彼がたった一人で手がけ完成させたマニュファクチャー的この作品、かすかにピーターの「BIKO」を彷彿とさせる冒頭の「BOTH SIDES OF STORY」こそそれなりに景気よく始まりますが、全体的には落ち着いた手作りサウンドとなっており、聴き込むほどに味わいがあります。
 別にこのアルバムによってより確かなソロ活動の手応えを感じたようでもありませんでしたが、結局この後フィルがジェネシスに戻ることはありませんでした。前はあんなにソロが売れても、ちゃんと本家に戻って来てたのに…。

2004/12/15


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