EMERSON LAKE & PALMER /
BRAIN SALAD SURGERY

(1973)

 3人編成でありながら圧倒的な音圧で迫る肉体派プログレトリオ、E.L.P.ことエマーソン・レイク&パーマーの5thアルバムです。ギターレスの編成とはいえ、彼らの繰り広げるテクニカルかつ豪快な演奏はほとんどヘビメタです。エイリアンのデザインで有名なH・R・ギーガーの描く不気味なアルバムジャケットもなにやらそっち系の雰囲気を醸し出しており、ご丁寧に邦題まで『恐怖の頭脳改革』となっています。
 このように彼らのこけおどし的なエンターテインメント性は他のプログレバンドの追随を許しません。特にあの重いハモンドオルガンを引きずり回し、馬乗りになり、ナイフを刺しながら弾くキース・エマーソンのパフォーマンスは、ギターを燃やしたり歯で弾いたりしたジミヘンと並んでロック史上に残るものでしょう。
 また、『展覧会の絵』等のクラシックの楽曲をネタとして拝借する方法論も彼らの特徴で、このアルバムでもヒナステラのピアノコンチェルトに独自のアレンジを施しています。それにもまして圧巻なのは3つのパートからなるオリジナルの大曲「悪の教典」です。アナログ盤時代は収録時間の関係か、最初のパートが途中でフェイドアウトしてA〜B面にまたがる苦肉の策でしたが、CDでは一気に聴くことが可能になりました。
 こういった派手なバンドなので絶頂期の人気はプログレバンド中一番、逆に凋落ぶりも一番だったようです。もしかしたらメンバーの仲の悪さも一番かも。

2002/09/01


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