PHIL COLLINS / FACE VALUE

(1981)

 ジャケットのインパクトがあまりにも強烈なフィル・コリンズの1stソロアルバム『夜の囁き』です。
 発売当時の宣伝文句は「ジェネシス最後の切り札」。意外なことにフィルはジェネシスで一番ソロデビューが遅かったんです。最後ということもあってか、他のメンバーのソロと比較すると、最もそれまでのジェネシスのイメージから逸脱しています。そして実はこのサウンドがその後のジェネシスの方向性を決定づけているんです。
 特にシングルヒットした表題曲に見られる、チープなリズムマシーンで静かに始まりながら後半はフィルのゲートエコーのかかったドラムが暴れまくるパターン。名曲「MAMA」、「NO SON OF MINE」等の原型がここで完成したのです。また、EW&Fのホーン隊を起用したのもこのアルバムからです。このパターンはむしろフィルのソロの特徴となっていきますが、ジェネシスにおいても「NO REPLY AT ALL」、「PAPER LATE」等で効果的に使われています。
 さらに、ドラマーのくせにドラムを叩かず、ピアノやストリングスをバックに歌ったりしたのもこのアルバムからです。その後フィルがドラマーだとは知らないファンも増えました。(笑)

2002/06/01


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