ERASURE / I SAY I SAY I SAY

(1994)

 デペッシュ・モードでデビューしヤズーを経てこのイレイジャーに至ったヴィンス・クラークは、まさしくエレポップの達人です。この6thアルバムを聴くと、めくるめく官能のエレポップワールドを体験することができます。シンセでしか出せない様々な音色が幾重にも折り重なりながら押し寄せて来るにも関わらず、分厚さや大仰さとはまったく無縁の爽やかなサウンドになっています。
 また、アンディの歌のウマさも特筆すべきものがあります。人工的でややレトロなピコピコサウンドを極上のポップとして完成させるための最後の一ピースがこのアンディのソウルフルな歌声です。実際ヴィンスも「こんな曲はシンセがあれば誰でも作れるよ。でもアンディがいなきゃムリだね。」と謙遜しながら、それとなくパートナーを賛美しています。そんなアンディの卓越したヴォーカルセンスと、シンセの鬼才ヴィンスの絶妙のコンビネイションが生み出した傑作がこのアルバムなのです。
 それにしてもヴィンスがシンセを操作する姿は、その風貌と相まってまるでマッドサイエンティスト。

2000/09/15


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