GENESIS / LIVE OVER EUROPE 2007

(2007)

 フィル・コリンズ脱退後、レイ・ウィルソンをリードヴォーカルに据えて放った『CALLING ALL STATIONS』がアメリカでは思ったようなセールスを上げられず、フェイドアウトするように活動を停止してしまったジェネシスでしたが、アーカイヴ音源の編集作業をきっかけに再集合し、リユニオンツアーが実現しました。これはその奇跡の再結成ツアーを収録した2枚組ライヴアルバムです。
 この時点でのフィルの声域に合わせて若干キーを下げているようで、バリバリ現役だった頃のスリリングなテンションではありませんが、むしろ大御所としての余裕が感じられる安定感のある演奏になっており、映像版で見ると壮大なスケールのステージセットに照明や映像を絡めた演出効果と相まって見応えたっぷり。かつてライヴアクトNo.1だった頃のスケールをも遙かにしのぐ一大エンターテインメントとなっております。
 「DUKES INTRO」で盛大に幕を開け「CARPET CRAWLERS」で終わる心憎い構成の中でも、活動停止前のライヴの定番曲に加えて「さざなみ」が演奏されている点が、往年のファンには嬉しいところです。また、今まで「DRUM DUET」と呼ばれていた人気のコーナーが「CONVERSATIONS WITH 2 STOOLS」と名前を変え、フィルとチェスターがイスを叩きまくるシーンが映像的には一つのハイライトと言えるでしょう。
 そんなすばらしいこのライヴアルバムに、敢えて無い物ねだりのいちゃもんをつけるとすれば、せっかくの再結成なのにピーターとスティーヴが不参加であること。ツアーに同行するのは無理だったとしても、せめてどこか1か所でゲストとして1曲でいいから共演して欲しかった…。

2010/10/01


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