HATFIELD AND THE NORTH / THE ROTTERS' CLUB

(1975)

 カンタベリーロックの最高峰、ハットフィールド&ザ・ノースの2ndは様々な魅力に溢れた名盤です。
 まず、リチャード・シンクレアのテナーヴォイス。イントロなしでいきなり彼の声が聞こえた瞬間から、もうその世界に引き込まれてしまいます。けしてうまいわけではなく、なんとも朴訥な歌いっぷりなのですが、そのあか抜けなさがたまりません。
 そして4人のメンバーたちの超絶なテクニック。特にキーボード等に関する本まで多数出しているデイヴ・スチュワートのプレイは変幻自在で、クールなのになぜかあったかいという、二律背反を可能にしています。他のメンバーにしても然りで、複雑かつスリリングなインストゥルメンタルパートをサラリと聴かせてしまうところがニクイですね。また、バーバラ・ガスキンを初めとするコーラス隊の心地よいスキャットも、サウンド面で大いに貢献していると思います。
 最大の聴きどころはラストの20分にも及ぶ組曲「MUMPS」。長さだけはちゃんとプログレですが、結局このバンドの個性を最も如実に表しています。要するに、こんなにスゴいことやってるのに、なぜか和んでしまうんですよ。

2001/12/15


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