ROXY MUSIC / SAME

(1972)

 ロキシー・ミュージックの歴史を考えると、混沌としたものが徐々に洗練されていく過程を見るような思いがします。事実、ラストアルバムの『AVALON』は最も洗練された大傑作でした。では逆に、このデビューアルバムはどうでしょうか?
 ここには『AVALON』に至る過程で彼らが(or ブライアン・フェリーが)次々とそぎ落としていったものがギッシリ詰まっています。混沌としたサウンド、ヘタウマとも言われた稚拙なテクニック、グラマラスなファッション、そしてイーノ…、それらはすべて初期ロキシーの唯一無二の魅力なのです。
 彼らの代表曲である1曲目、「RE-MAKE / RE-MODEL」での大騒ぎは、後期の彼らにはあり得ない下世話な魅力に満ちています。特にイーノの奏でる(?)「ピーッ」とか「ガーッ」しかいわないシンセの音は最高!続く「LADYTORON」などで醸し出そうとしているヨーロッパ的な雰囲気も、未熟さが功を奏して独自の世界が表出する結果オーライ状態。さらに「2HB」はニヒルを気取ったつもりのダサさがたまりません。
 サウンド面だけでなくその異様なたたずまいでもバンドに貢献したイーノでしたが、残念ながら2ndまででクビになってしまいます。まぁ、後のロキシーの展開を考えれば当然の結果でしょうね。
 

2003/04/26


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