TODD RUNDGREN /
THE EVER POPULAR TORTURED ARTIST EFFECT

(1982)

 トッド・ラングレンにはいろいろな魅力がありますが、まず何と言っても一人多重録音の得意なマルチミュージシャンであるということが挙げられます。このアルバムはトッドのそういった側面を、もっともすっきりとした形でコンパクトにまとめています。
 1曲目「HIDEAWAY」からパーフェクトなポップソングで幕を開け、全曲シングルカット可能なくらいトッドのポップな魅力が満載です。特筆すべきは、隠れた大ヒット曲である7曲目の「BANG THE DRUM ALL DAY」です。この曲はなぜかアメリカンフットボールの試合中、常にスタジアム内で大音量で流されており、アーティスト名も曲名も知らなくてもアメリカ人なら知らない人はいないという変な知名度の高さを誇ります。
 さらにトッドはプロデューサーとしての手腕にも定評があり、そういった形でも数々の名盤を残しています。特にXTCのアンディ・パートリッジとの確執をはじめとして、プロデュース中の逸話にも興味深いものがたくさんあり、彼への興味は尽きません。
 ただ、ここ数年はインタラクティヴやら新曲のネット配信やら迷走を続けています。その変幻自在なマルチぶりが彼の最大の魅力なんでしょうが、逆にこのアルバムのような純粋なポップソングを作っていた頃が懐かしくも感じられてしまいます。なんといってもこのアルバムの邦題は『トッドのモダン・ポップ黄金狂時代』でしたからね。

2000/09/24


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