JOHN FOXX / THE GOLDEN SECTION

(1983)

 孤高の道を歩み続けるニューウェイヴ界の静かなるカリスマ、ジョン・フォックスの3rdアルバムです。
 あまりにも時代に先んじたためリアルタイムではほとんど正当な評価を受けることがなかったという『SYSTEMS OF ROMANCE』。それでも後年めでたく幻の名盤扱いされるようになりました。それではこのアルバムはどうでしょう?再評価の気運が高まる中で満を持してソロのキャリアをスタートさせたためかイギリス国内でそれなりのセールスを上げ名盤の認定を受けている1st2ndの陰に隠れて現在では見過ごされがちな感がなきにしもあらずですが、このアルバムもそれらに負けず劣らず傑作と言えます。その理由は…。
 ビートルズを中心とした60年代後半のサイケデリックエラへのオマージュとして、音楽的実験を現代のエレクトロニクスを駆使して継承するというアイデアは誰でも思いつきそうですが、この時代に実践したアーティストはほとんど見あたりませんでした。ところが彼は既に先行シングル「ENDLESSLY」においてその方法論を確立し、このアルバムでもそれを随所で展開、その上でさらに躍動感と浮遊感、きらびやかさとくすんだトーン、モダンさとノスタルジーなど、相反するものを共存させるという奇跡のサウンドをものにしているのです。
 前述のシングルヴァージョンとはまた違ったアレンジで、ゆるやかな螺旋を描きながらどこまでもどこまでも上昇していく「ENDLESSLY」や、黄昏時のきらめきの中でフェイドアウトしていく「TWILIGHT'S LAST GLEAMING」等々、全曲がアルバムのタイトル通りまさに‘黄金の領域’。

2005/02/08


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