GARY CLARK / TEN SHORT SONGS ABOUT LOVE

(1993)

 「MARY'S PRAYER」という小ヒットを放ったスコットランド出身のC級バンド、ダニー・ウィルソンの中心人物ゲイリー・クラークがバンド解散後に発表した1stソロアルバム『愛を綴った10の短編』です。
 ソロアルバムとなってはいるものの他の二人もそのまま参加しており、ダニー・ウィルソン名義で出てもおかしくない内容です。強いて違いを挙げればバンドという形態を取り払ったことで、よりゴージャスなアレンジが可能になった点でしょうか。大体このテのポップアーティストがそういったアレンジを施すとろくなことがないものですが、どことなく垢抜けないキャラのため嫌みのない仕上がりになっています。
 1曲目「J。その理由は…」で気恥ずかしくなるほどゴージャスに幕を開け、ビーチ・ボーイズを彷彿とさせる「嵐の海を行こう」や軽快な「幸せな家庭」等ヴァラエティに富んでいながら不思議な統一感があります。
 こういったアーティストがブレイクするとしたら、映画のサントラに曲を提供したらそれが大ヒット…なんてパターンでしょうかね。まぁ、たまにアルバムが出せるくらいにはがんばって欲しいアーティストの一人です。

2002/12/01


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