WINGS / VENUS AND MARS

(1975)

 ウィングスの4枚目のアルバムと言うより、前作『BAND ON THE RUN』の大成功に気をよくしたポール・マッカートニーが、奥方のリンダとデニー・レイン以外にもメンバーを加えてツアーへの臨戦態勢を整えた新生ウィングスの第1弾といった趣の名盤です。
 名盤と一口に言っても様々なタイプがありますが、ブリティッシュポップフリークが求めるのは必ずしも大ヒット曲を含むアルバムではなかったりします。それより全体の流れで聴かせるトータル性が魅力の名盤は圧倒的に英国産に多いんじゃないでしょうか。ビートルズの『SGT. PEPPERS…』然り、キンクスの『THE VILLAGE GREEN…』然り。そしてこのアルバムもそういったタイプの名盤の1枚と言えるでしょう。
 なんと言ってもライヴのオープニングを想定した冒頭の「VINUS AND MARS〜ROCK SHOW」のメドレーで決まり。また、「幸せのアンサー」や「磁石屋とチタン男」といった小曲の佇まいはさすがポール!と言いたくなります。さらにアナログ盤B面が「VINUS AND MARS」のリプリーズで始まるのもたまりません。トドメは、シングル「あの娘におせっかい」がこのアルバムの核としての主張をせず、B面後半のなんとも中途半端な位置に奥ゆかしく収まっている点。
 ついでに言うとジャケットデザインも秀逸ですね。やっぱりヒプノシス。(納得)

2004/10/17


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