ULTRAVOX / VIENNA

(1980)

 中心人物ジョン・フォックスの脱退により活動を停止してしまっていたウルトラヴォックスが、新たなフロントマンとして元リッチ・キッズのミッジ・ユーロを迎えて放った起死回生の復活第1作。華麗なる幻想の主役ウルトラヴォックス、第二章の幕開けです。このアルバムによって彼らは、ニューロマンティックというファッショナブルなムーヴメントの旗手として成功を収めるに至りました。
 時代の先を行き過ぎていたと言われるジョン・フォックス時代のサウンドを踏襲しながらも、ミッジ主導のこのアルバムはかなりソフィスティケイトされています。これはジョンとミッジの資質の違い。唯一無二の天然キャラを炸裂させて別世界にイってしまうジョンに対して、ミッジにはいい塩梅の下世話さがあり、それが成功に繋がったのではないでしょうか。
 まずなんと言っても、「NEW EUROPEANS」。冒頭のインストゥルメンタルナンバー「ASTRADYNE」の7分にも及ぶ流麗な展開を切り裂くイントロのカッティングのかっこ良さ。日本ではサントリーのCMで効果的に使われました。さらに必殺のタイトル曲。リズムマシーンのビートに乗って淡々と始まりながら、サビでミッジが泣きのメロディを歌い上げ、間奏ではビリー・カーリーのピアノが響き渡りヴァイオリンが駆け巡るという展開にしびれます。こういったアート感覚のヨーロピアンな雰囲気はジョンの時代から彼らが目指していたものですが、ここで一つの完成をみたと言えるでしょう。
 ちなみにプロデュースは『SYSTEMS OF ROMANCE』から引き続きコニー・プランクが担当。第一期より一皮むけた端正なサウンドに仕上げています。

2005/02/02


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