MARVIN GAYE / WHAT'S GOING ON

(1971)

 モータウンを代表するソウルシンガー、マーヴィン・ゲイが孤高の地位を築いた不朽の名作です。
 デュエットの相方タミー・テレルを脳腫瘍で失った後かなり精神的にまいってしまい1年以上沈黙していたようですが、それを乗り越えて初のセルフプロデュースでこのアルバムを見事に完成させました。その内容はベトナム戦争等を扱ったメッセージ性の強いもので、サウンドには深い苦悩が感じられるものの、全編を貫くゆったりとしたグルーヴに乗って美しいメロディを歌い上げる彼の歌いっぷりがあまりにもメロウなため、驚くほど心地よい印象です。また、曲間が切れ目なく自然に流れていくため、アルバム通して1曲であるかのような感じすら受けます。それはこのアルバムのトータルな完成度の高さを表していると言えるでしょう。その基本となるのが冒頭の表題曲「WHAT'S GOING ON」。極端な言い方をすると、収録曲全曲がこの曲の変形パターンなのかも。
 それにしても、これだけ内省的で精神性の高いアルバムの次の作品『LET'S GET IT ON』のテーマがセックス賛歌とは?!その極端な2面性にもしびれます。
 

2004/08/28


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