ULTRAVOX / LAMENT

(1984)

 ライヴアルバム『MONUMENT』を挟んで、ニューロマという一過性のムーヴメントから脱却し、よりスケールの大きなサウンドを打ち出した第二期ウルトラヴォックスの4枚目のスタジオアルバムです。
 前作の先行シングル「REAP THE WILD WIND」でひと味違う姿を提示した彼らでしたが、このアルバムの先行シングル「ONE SMALL DAY」ではさらにその上を行く変化を見せました。元々エレクトロニックサウンドの中にソリッドなギターを絡めることを得意としてきた彼らでしたが、この曲はそれどころではなく、イントロからいきなりスコットランドの広大な大地を思わせるのびやかなギターが飛び出し、ファンの期待をイイ意味で裏切ってくれます。雰囲気としては同じスコットランドのビッグ・カントリーやアイルランドのU2に通ずるギターサウンドを取り入れた感じ。このルーツ志向は後にミッジのソロ活動において重要なファクターとなっていきます。
 アルバム自体は、ニュー・オーダーの「BLUE MONDAY」を彷彿とさせるデジタルビートが炸裂する「WHITE CHINA」で軽快にスタートし、上述の「ONE SMALL DAY」へと突入する大胆な展開を見せながら、往年のロマンティックな泣きメロもちゃんと随所で聴くことができます。特に3曲目「DANCING WITH TEARS IN MY EYES」はそれまでの彼らの集大成的な完成度の高い名曲。
 この後ミッジはいよいよ一人のアーティストとしてブレイクし様々な立場で活躍するようになり、逆にウルトラヴォックスは微妙な状態になっていきます。

2005/02/13


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