McDNALD AND GILES / McDNALD AND GILES

(1970)

 ロック史上に燦然と輝く名盤『クリムゾン・キングの宮殿』で登場したキング・クリムゾンは、USツアーの後(途中?)早くも3つに分裂してしまいました。アメリカの観客のパワーに煽られたのか、ロバート・・フリップはより攻撃性を求めてグループを発展させ、グレッグ・レイクはエンターテインメント性に目覚めてE.L.P.を結成します。ところが逆に「もうこりごり」と思っちゃった人たちもいました。その撤収組のイアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルスが組んだマクドナルド・アンド・ジャイルスの唯一のアルバムがこれです。
 上述のような経緯なので、このアルバムに本家クリムゾンやE.L.P.と同等のインパクトを期待すると肩すかしをくらいます。では、ぱっとしないのかと言うと決してそんなことはありません。むしろこのアルバムの魅力はフリップが徐々に切り捨て、レイクがはなから放棄した牧歌的な側面にあります。聴くほどにその滋味溢れるゆるーいサウンドの虜になってしまうのです。アルバム中最大の聴きどころ、アナログ盤のB面すべてを費やす組曲「BIRDMAN」にしても、大仰な感じはまったくなく、淡々とした展開の中に静かな高揚感を感じることができます。
 それにしてもこのグループといい、ジャイルズ・ジャイルズ&フリップといい安易なネーミングですね。トドメは最近この2人を中心に結成された21stセンチュリー・スキツォイド・バンド。最初バンド名を聞いたとき冗談かと思ってしまいました。
 

2003/12/31


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